
不動産各社が学生向けのマンション事業に力を入れていた時期がありました。政府が受け入れ拡大方針を掲げる外国人留学生の増加を踏まえ、防犯性を売りにした女子学生向けのマンションなどに、根強い需要があると見られていました。
伊藤忠都市開発は、2017年に武蔵小杉駅(川崎市)から徒歩12分の立地で、学生向け物件を建設する計画を打ち出しました。一室あたり12㎡で浴室・トイレ付きの部屋が390戸という大規模物件です。共用部にはトレーニングジムを設け、入居する留学生との交流イベントを開催、1日2食付き、管理人24時間常駐で、家賃は11万円程度になるとされていました。
この物件は、伊藤忠グループで学生寮の運営実績が長い伊藤忠アーバンコミュニティが運営し、伊藤忠都市開発は2年後をめどに不動産投資信託(REIT)へ売却して投資資金を回収する見込みとされました。こうした仕組みで、首都圏を中心に年に2〜3棟のペースで学生向けマンションを新設する計画でした。
日本土地建物は、大田区にある学生向け住宅の建て替え工事を始めました。物件近くにある東京工業大学へ通学する学生を対象とし、女子学生専用としたいとしていました。日本土地建物はこれまでにも16棟の学生マンション開発の実績があります。
さらに、投資法人にとっても学生向けマンションは魅力的だったようです。三井不動産系の日本アコモデーションファンド投資法人は、杉並区の物件を11億円で取得しました。学生向け住宅への投資は同物件で9件目です。大学が一棟丸ごと借り受ける事例もあり、一般的な賃貸マンションよりも安定した収益が見込めるとされました。
積水ハウス・SIレジデンシャル投資法人は、神戸女子学生会館の信託受益権を取得しました。土地建物を取得せずに賃料収入を得る予定で、同会館は大学キャンパスへのバス送迎サービスなどもあり、学生からの需要は高いとされていました。
学生人口は横ばい傾向が続く一方、女子学生は微増傾向にありました。外国人留学生も2015年には前年に比べ13%増の20万人となり、政府は2020年までに30万人へ増やす計画を掲げていました。留学生は保証人を確保しにくく、アパートを借りにくいという事情がありますが、大学が学生専用マンションを借り上げる形での需要も見込まれていました。
※本記事は2016年時点の情報をもとにした過去のニュース記事です。各社の事業計画や外国人留学生の受け入れ方針、家賃相場などはその後変化している可能性があります。最新の状況は各社の公式サイトや国土交通省などでご確認ください。