不動産融資が26年ぶりの過去最高に
2016年3月7日
銀行による不動産業向けの新規貸出が26年ぶりに過去最高となりました。これは2015年のバブル期を上回るものです。2015年の不動産業向け新規貸出は、前年比6.1%増の10兆6730億円。日銀による量的質的金融緩和策後の3年で3割増ということになります。融資残高も、15年末は65兆7102億円と18年ぶりに過去最高を更新。国内銀行による融資全体の14%となっています。
低金利を背景に、住宅やオフィスビルの需要が堅調であるのに加え、日銀の異次元緩和によるマネーが不動産市場に流れ込んでいるとのこと。地下急騰や取引量急拡大などバブル的要素はまだみえないものの、さらに刺激策が長引けば、バブル発生となる可能性もあります。
現在の動きの特徴として、不動産投資信託(REIT)など不動産ファンド向け融資が特に伸びていると言います。REITは収益性を重視して都市部のオフィスビルや商業施設などに投資しており、あらゆる投資家が不動産に資金を移動したバブル期とは異なります。また、REITの資金調達環境は改善しており、銀行融資拡大や日銀による購入で、REIT保有不動産価格は、1月現在で約14兆円と3年で1.5倍となっています。
また、銀行の融資は不動産会社を通じて、マンション市場にも流入しており、富裕層による節税または投資目的のマンション購入が販売高を押し上げています。
そして、一般個人向けに、大手都市銀行が住宅ローン金利引き下げの競争をはじめたのはご存知のとおり。住宅ローン融資残高は15年末に117兆6760億円と過去最高を更新、さらに拡大するとみられます。
大規模なこうした金融緩和が長引びく一方で、景気回復が遅れれば、不動産市場へ資金が集中し、将来の価格下落リスクを高める懸念もあり、そこは注意したいところです。