
日銀の異次元緩和で債券運用などの利回りが低下し、さらにマイナス金利政策の影響もあって、大手金融機関の資金運用は当時ますます難しくなっていました。各金融機関は、リスクが高くリターンの大きい投資を増やす傾向にありました。
ゆうちょ銀行は、2016年度中をめどに不動産投資信託(REIT)投資への参入を決めました。第一生命は6年ぶりにベンチャー投資を再開。地方銀行もファンド投資を広げるなど、国債など比較的安全な投資商品に偏っていたマネーが動き出す可能性が指摘されていました。
ゆうちょ銀行は2月にREIT専門の不動産投資部を新設し、許可取得に動いていました。金融庁は申請が出れば認める方針とされ、REITへの具体的な運用資金の配分は未定ながら、中期的に値上がりが見込まれるREITなどの組み入れを増やす方針でした。
ゆうちょ銀行の運用資産は総額205兆円で、そのうち利回りの高い外債への投資額は59兆円に膨らんでいました。リスクの高い投資を増やし、国債残高が運用資産全体に占める割合は、前年12月末には約40%にまで低下していました。リスク投資を3月末までに60兆円へ増やす計画を前倒しする動きも報じられました。
安全運用傾向だった生保大手各社も、高リスク投資への関心を高めていました。第一生命は2月、ベンチャーキャピタル「ビヨンドネクストベンチャーズ」への10億円の出資を決めました。前年度には、未公開企業へ資金提供するベンチャーファンドや成長企業株の取得に500億円強を投じており、これは前の年度より3割増でした。住友生命保険も、ドルなど外貨建ての社債投資を前年7月に始め、米国中心だった投資先を欧州へも広げていました。
地方銀行では、静岡銀行がSBIインベストメントのファンドに1億円の出資を決め、山口フィナンシャルグループなど7グループが資産運用会社を7月に設立する動きもありました。
ゆうちょ銀行については、株式上場後の大きな新規事業として住宅ローン販売も報じられていました。当時、ゆうちょ銀行はスルガ銀行の代理業者として住宅ローンを取り扱っていましたが、金融庁に新規業務申請を行っていたのは、ゆうちょ銀行独自の住宅ローンでした。年収400万円以下の人への融資を一つの基準とし、50年にわたる超長期ローンを請け負うとされ、民間銀行に配慮して個人事業主や高齢者など住宅ローンを受けにくい層をターゲットにするとも報じられていました。
※本記事は2016年時点の報道をもとにした過去のニュース記事です。その後の各社の事業展開や制度は変化している可能性があります。最新の状況は各金融機関の公式サイト等でご確認ください。